コクリバ 【完】
ここにくるまでにいろんなことがあったと思う。

すれ違ってばかりの私たちだったけど、それでも忘れられなかった。

お互いを信じることができなかったけど、本当は信じたかった。

自分の気持ちが分からなくなったけど、やっぱり会いたかった。

今では、それも必要なことだったのかもしれないという気がしないでもない。


目の前に高木誠也がいる。

そのことだけで幸せだ。


綺麗に整列した自衛隊員の前で、どこかの偉い人が話をしている。

そんな政治的な情勢とか、日本の立場とか、いろいろ言う前に彼らと一緒に行ったらどうだと思う。

大事な家族と離れ、彼らがやってきたことは、感謝という言葉しかないはずだ。


それからも式典は続き、その間ずっと高木誠也だけを見つめていた。

早く触れたい。


最後に敬礼をして、式典は終わった。

そのまま真っ直ぐ私たちの方へとやってくる隊員たち。

お出迎えの家族席から歓声が上がる。

走ってやってくる人、名前を呼びながらやってくる人、それぞれが歓喜の笑顔で自分の家族を探している。
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