コクリバ 【完】
海の向こうに点のように見えた物体は、少しずつ少しずつ大きくなって、今ではハッキリ解る。

それは私たちが待ち焦がれた艦の姿。

半年前と変わらない大きな灰色の自衛艦。


この中にあの人が……


もうこの時点で胸がいっぱいになって、涙が溢れていた。


ゆっくりと艦が接岸される。

甲板にいた人が私たちの方へ手を振って見せた。


「おかえりー」

沢山のお迎えの人たちから歓声があがる。

私も見知らぬその人に夢中で手を振った。


銀色の橋がかけられ、中から紺色の制服に身を包んだ自衛隊員が出てきた。

みんな嬉しそうに顔が輝いて見える。


私のドキドキは最高潮に達していた。

早く出てきて、早くその姿が見たい。

逸る胸を押さえながら待つけど、なかなか彼の姿は見えない。

まさか既に出てきた?
見落としていた?

そんな不安が襲い始めたとき、銀色の橋の上に高木誠也が現れた。

みんなと同じ紺色の制服を着こなし、紺色の制帽を目深にかぶって、大股で橋を下りてくる。

「先輩……」

どっと溢れた涙が邪魔で彼の姿が見えない。
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