Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**占領しちゃおう


貴晃は、杏を残していく事を
心配していたが、
杏から、
「もう、心配しすぎだよ。
貴晃は、イギリスで
待っていてね。」
と、言うと。
「干菜さんに、また何か言われたら
と、思うと。」
「大丈夫だよ。
何を言われても、姉妹なんだから。」
と、言った。
「杏なんだか、変わったね。
すごくたくましい。
じゃさ、じゃ、必ず連絡して。」
と、言いながら
杏に何度もキスをして
イギリスへ発った。

杏は、もぅ‥‥
と、思うが、貴晃がいつも
理解してくれて、嬉しく思っていた。

その日、お母さんが
連絡して姉が帰ってきた。

「なに?」
と、干菜。
「あなた、どこにいるの?」
と、母さん。
「言いたくない。」
と、話しているときに
父親と松葉杖の杏が入ってきた。

干菜は、びっくりした顔をした。
「‥‥あん‥ず‥あし?」
と、干菜。

「杏は、お前が出ていった日に
自殺をはかったんだ。

小さな島に流れついたらしい。
体中、傷だらけ打撲もしていて
足は、切らないといけない状態だった
目も見えてない
記憶もない。」
と、お父さんが言っているなか
杏はお父さんを止めて

「あなたが、私のお姉さん?」
と、杏。

干菜は、涙を流した。
「‥‥‥‥‥ごめん‥‥なさい‥
あん‥‥ずに‥言った‥のは
ほんき‥じゃ‥ないの
‥‥あん‥ずっ‥は‥
大切な‥‥かわ‥‥いい‥
私の‥‥妹‥‥」
と、切々と訴えた。
杏は、
「お姉さん、ごめんなさい。
何も、覚えてないの?
だから、もう苦しまないで。
私、貴晃と生きて行きます。
もうすぐ、イギリスに発ちます。
その前に、お姉さんに
会いたかった。」
と、言うと
「そう、貴晃さんの事は、
わかるんだ。
杏、幸せになりなさい。」
と、言ってくれた。
「ありがとうございます。
それで、お姉さん
お父さんとお母さんの事を
お願いしていいですか。」
と、言うと
「わかった。
杏のいない間に
お父さん、お母さんを
占領しちゃおう。」
と、言った。

圭吾と尚子は
姉妹の話を聞いて
涙を流した。
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