家族の絆
 そのために、翌朝起き出したら、ユキが抱きついてきたのには驚いた。ユキは絵美と一緒に寝て、いろんな話を明け方近くまでしていた。例の詐欺の話や真由美の話を除いて、ユキの生い立ちの話、すし屋〔ひょっとこ〕の話、親父さんの話、居酒屋〔寄り道〕の話、女将さんの話などをずっとしていた。特に、料理に関しての話に絵美は興味を持ったようだった。絵美からは子育ての話、それに関して学校の話やPTAの話だった。まだ、誰も起き出してこない間、祐一はユキとしばらく話をしていた。まず、気になっていた金額であるが、200万円についてどうしたらいいのか切り出した。
「だって、お義母さんがはっきり500万円って書いているのに300万円だと、祐一さんがいろいろと言い訳をしなくちゃいけなくなるでしょう!?」
 今までのことを絵美に話さざるを得ないだろうと思っていたが、ユキはそんなことまで気を回してくれていたんだと思った。
「じゃあ、どうやって支払えばいいか!困ってしまうよ」
 ボーナスで支払うのだったら、結局のところ同じことになってしまい、絵美にすべてを話さざるを得なくなるのは目に見えていた。
「だから、この前も話したけど、あの200万円のことはもう忘れてしまいましょう!」
 ユキは確かに、何度も同じようにいっているのはわかるが、忘れるわけにはいかない。
「絵美さんたちには悪いと思うんだけど、祐一さんにはお義兄さんだけじゃなく、わたしがもう少し元気になるまで、恋人の役も演じて欲しいの」
 ユキは握っていた手に力をこめた。
「それで、絵美さんには祐一さんを借り受ける件も合意してもらいましたから。よろしくね」
 なんと対応していいか困ってしまった。
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