家族の絆
 新しい週になって、ユキに有楽町の〔オリエンタルダイニング梅の花〕に行かないかと誘ってみた。一緒に食事をするための目的は告げなかったが、二つ返事が返ってきた。今度の水曜日には、ちょうど、デジタル放送研究会が開かれる予定なので、その日に会うことにした。お店に予約をし、バースデーカードだけは準備することにした。

 時差があるとなかなか大変だ。ジョーからのメールを受け取ったのは翌日の火曜日の朝ということになる。『ファックスが送れなかったようで、申し訳ない。今は修復しているので送って欲しい。暗号は安全のために使ったほうがいいと思う。もし、"orange"が返ってこなかったら、直ちに電話を切ってください。他の関係ない人に今のビジネスの話を聞かれたくないから』という、短い内容のメールだった。

 既に、2通の書類は昨日のうちに送っておいたので、少し冗談めかして、それ以上ファックスで何を送って欲しいのかといってやった。また、暗号の件については異存がないということも書き添えておいた。
 その日の夜にジョーに電話をしたら、家族の話をはじめた。彼にはお嬢さんが2人いて、奥さんを含めてみんな早く日本に移住したい、ということだ。しかし、そんな簡単に日本の滞在ビザが手に入らないだろうといったら、自分は政府関係者なので、日本への入国ビザなら簡単に手に入る。それに日本に入ってしまえば、このお金があれば誰にも文句は言われないだろう、とそんな調子であった。
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