家族の絆
 前々から出張後には、ユキと時間を作って会うことを約束していた。しかし、9月9日、10日と全く身動きが取れなかった。
 やっと、11日の夕方に時間を取ることができた。海外出張の帰国日程は、ユキには当然伝えてあった。帰りの機内販売で目に付いた真っ赤なバカラのペンダントをユキへのお土産として求めていた。
 11日の夕方ソニービルで待っていると、約束の7時少し前にユキは現われた。この日は、食事の後、クラブ〔水蘭〕には行かないことにしていた。そのため、新橋あたりで逢う必要はなかったのだが、なんとなくいつもの調子で、銀座になってしまった。まだ暑い日が続くねというのがお互いの挨拶だった。食べたいものを聞いたが、具体的に返事がなかった。まあ、和食が適当かなっと思ったが、どこにしようか?〔瀬里奈〕なら大丈夫だろうと思って、「じゃあ和食にしよう!」と言って歩き出した。4丁目の交差点を三越側に渡り、そのまま中央通りを歩いて、「ここにしよう!」と言ってドアを開けて招き入れた。直ぐに階段になっていて、お店は地下にあった。そこの〔瀬里奈〕はかなり込んでいたが、「予約をしていないのだけど・・・?」とお店の人に話してみたが、やはり、問題なかった。中ほどの席に着くなり、生ビールと会席料理を注文すると同時に、「これ出張のお土産!」といってユキの目の前に箱を無造作に置いた。喜んでくれているのがよくわかった。ユキはそのペンダントを直ぐに着けてくれた。ユキの肌は本当に白かったので、ペンダントの赤がものすごく映えて見えた。一連のお料理の中に和風にアレンジされたステーキがあった。わさび醤油で食べるステーキもやわらかくて美味しかった。
 食事の後、どこかゆったりできるところはないかと歩き出したが、新橋方面にひとりでに足が向いてしまっていた。途中、6丁目あたりでワインバーを見つけて、そこに行くことにした。
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