家族の絆
当然のように彼の奥さんにわかってしまい、彼は離婚されてしまった。その彼女の父親は、その当時、2人が勤めていた会社の役員だったので、彼もユキも会社にいられなくなってしまった。それで、彼が東京に出て仕事を探すというのに、ユキもついて行った。両親が浜松に帰ってこいというのを無視して、彼について東京に出てきてしまった。
「そのころは、たいそう貧しい生活だったけど、本当に楽しい時期だったの」
遠くを見つめて目を細めている様子は、昔を思い出しているようだった。東京に出て来て、半年もしない頃から彼は家に帰ってこないことがたまにあった。そんな状態だったので、生活費にも困って途方にくれていた。そんなときに、大橋屋の女将さんに声をかけられて、仕出屋をやっていた大橋屋で働くことになった。その頃には、彼の帰宅はますます稀になってしまった。
「そのころは、たいそう貧しい生活だったけど、本当に楽しい時期だったの」
遠くを見つめて目を細めている様子は、昔を思い出しているようだった。東京に出て来て、半年もしない頃から彼は家に帰ってこないことがたまにあった。そんな状態だったので、生活費にも困って途方にくれていた。そんなときに、大橋屋の女将さんに声をかけられて、仕出屋をやっていた大橋屋で働くことになった。その頃には、彼の帰宅はますます稀になってしまった。