家族の絆
ユキの20歳頃の生い立ちを聞いて、家族の絆と自らの意思との葛藤の末に、その場限りのというとあまりにも適切ではないが、安易な方向へ流れてしまった若者の姿を見ていた。確かに、若さゆえにできることもあるだろうが、その行動の裏づけに、ある程度長い目で見たビジョンというか基本的な考え方のようなものが必要ではないかと、そんな思いがかすめていった。純一のことが一刻(いっとき)思い浮かんだ。確かに、家族として子供の教育のことを絵美のように考えてやることは必要なことだと思う。しかし、自らの意思でやりたいサッカーに情熱を燃やすことも重要なことだ。そう、長い目で見た考え方とその時の情熱とのバランスが必要なのではないかと納得していた。
ユキの話は続いた。彼が、家に帰って来なくなってからもユキは仕出屋の仕事は続けていた。仕事を初めて一年もしない頃から味付けも任されていて、かなり責任のある立場になっていた。
ユキの話は続いた。彼が、家に帰って来なくなってからもユキは仕出屋の仕事は続けていた。仕事を初めて一年もしない頃から味付けも任されていて、かなり責任のある立場になっていた。