君の瞳に映る世界
「私ね、将来、画家になりたいんだ。
色が見えないのに、絵描きになりたいって言ったら、笑う?」
少し首を横にかしげながら、彼に聞くと彼はゆっくりと首を横に振った。
「初めは、絵が好きだし、1人で出来る仕事だって思ったから。
でも、今は私の絵で人を笑顔にしたいんだ」
こんな私でも、人を笑顔に出来るんだって思ったから。
前までは、こんな風に思わなかったのに……
「……逢坂くんの、おかげだよ」
「え?」
「今まで、誰かのために何かしたいって思ったことなかったのに……
ここに来て、逢坂くんが皆に会わせてくれたからだよ」
だから……
「ありがとう、逢坂くん」
「っ!」
すると、逢坂くんはグッと息を詰まらせた。
なぜか、少し顔を赤らめながら。
「……どうしたの?」
「いや、なんでもない……」
「そう……
ねえ、逢坂くんは?
逢坂くんの将来の夢って、何?」