君の瞳に映る世界


「私ね、将来、画家になりたいんだ。

 色が見えないのに、絵描きになりたいって言ったら、笑う?」




少し首を横にかしげながら、彼に聞くと彼はゆっくりと首を横に振った。




「初めは、絵が好きだし、1人で出来る仕事だって思ったから。

 でも、今は私の絵で人を笑顔にしたいんだ」




こんな私でも、人を笑顔に出来るんだって思ったから。




前までは、こんな風に思わなかったのに……




「……逢坂くんの、おかげだよ」




「え?」




「今まで、誰かのために何かしたいって思ったことなかったのに……

 ここに来て、逢坂くんが皆に会わせてくれたからだよ」




だから……




「ありがとう、逢坂くん」




「っ!」




すると、逢坂くんはグッと息を詰まらせた。




なぜか、少し顔を赤らめながら。




「……どうしたの?」




「いや、なんでもない……」




「そう……

 ねえ、逢坂くんは?

 逢坂くんの将来の夢って、何?」




< 78 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop