君の瞳に映る世界
そう聞くと、今度は逢坂くんが手元を見つめた。
「僕は、作家になりたいんだ」
「え……」
作家?
ていうか、逢坂くんて小説書くんだ。
知らなかった……
本とか、好きなのかな。
「どうして、作家になりたいの?」
「……人に、忘れられないように」
「え?」
人に、忘れられないように?
どういうこと?
「言葉を記しておけば、それは確かな証拠になる。
文字が残っていれば、僕が存在していた事を、覚えていてもらえると思うから」
すると、逢坂くんは顔を上げた。
まっすぐと、どこまでも先を見るように。