春、さくら、君を想うナミダ。[完]
彼がこっちに歩いてこようとしたとき、
石黒さんも教室から出てきて、あたしは慌ててくるっと前を向く。
「ねぇ、ちょっと来て?」
「え?なに、石黒」
「いいから来てよっ」
ふたりの会話が聞こえなくなったあと、ゆっくりと後ろを向いた。
石黒さんに腕をつかまれたハルくんが、廊下の向こうへと歩いていく。
そのまま教室に戻ろうかどうか迷った。
だけど、やっぱり気になる。
あたしは、ふたりの後を追いかけた。