春、さくら、君を想うナミダ。[完]




***



彼と“友達”になってから、



週に2、3日は、放課後にあの場所で待ち合わせをして一緒に過ごした。



誰もいない静かな湖畔のベンチ。



片耳ずつイヤホンをして一緒に音楽を聴いたり、



彼から借りた本の感想を話したりした。



愛犬のモモの散歩に、一緒に付き合ってくれたりもした。



友達がたくさんいて、女子からも人気のある彼が、



どうしてあたしと友達になってくれたんだろうって。



どうしてこんなふうに仲良くしてくれているのかなって、ずっと不思議に思っていた。



だけど、ある日……。
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