春、さくら、君を想うナミダ。[完]



「なんか俺……さくらといると落ちつくんだよね」



彼は、会話の中で自然と言ってくれた。



誰かにそんなことを言われたのは生まれて初めてだった。



友達にそんなふうに言われて、うれしくないわけがない。



「無理しないでいいっていうか、そのままの俺でいられる」



「普段……無理してるの?」



「いや、そうでもないけどさっ」



「ふふっ、どういうことぉ?」



「とにかく、さくらといると楽しいってこと」



そう言って彼は、ニッと笑顔を見せた。
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