メガネ男子と同居中
マコトくんのブラックコーヒーはすごく苦かった。
でも、なんだろう。
ほんのり甘い気がした。
家に着いてからもぼーっとマコトくんのブラックコーヒーの味が忘れられなかった。
キスは何回かしてるのに、間接キスですごくドキドキしてしまった。
「子供だな…」
コーヒーを飲めないのも、間接キスでドキドキしちゃうのも。
私はまだまだ子供だ。
「莉子ちゃーん!ご飯できたわよー!」
一階から麻友さんの声が聞こえ、私は慌てて椅子から立ちあがる。
「はーーい!」
「あ」
「…」
部屋を出ると、同じタイミングで黒瀬も部屋から出てきた。
「あ…どーもー」
黒瀬への態度が変になる。
昔の黒瀬を見てからというもの、どうやって接したらいいのかよくわからない。
だって。
メガネでも地味でもなかったんだもん。
それに、黒瀬を笑顔にさせるって麻友さんに宣言した以上、黒瀬を不愉快な思いにさせるのはあってはならないことだし…。
「やっぱり…水谷さんおかしいです」
「え?!何にもおかしくないし!」
「マコトくんとうまくいってないんですか?」
「は、はぁ?うまくいってるし!アツアツだっての!今日だって…放課後デートっていうもんをしてきました〜〜」
「ふーん。それはよかったですね」
「へ?」
黒瀬は振り返って、階段を下りていく。
あれ?
意地悪なこと言わなかった。
いつもの黒瀬なら絶対「バカはバカといる方が落ち着くはずですもんね」とか「勉強しないで男と遊ぶなんて僕には理解できません」とかとりあえずそういうこと言うでしょ?!
全く…
調子狂うって。