メガネ男子と同居中

「ほら、すげーガキでしょ?都合悪くなるとすぐ逃げんだよ」
翠さんは階段を見つめてそう言う。


「翠がいじめるからじゃない。葵はああ見えてすごくわかりやすい子なの」
麻友さんが慌てて話に加わる。

「いじめる?本当のこと言っただけだよ」

「もう…」

「でも、なんで今黒瀬怒ったんですか?」

「図星だろ?自覚してんだよ」

「へ?」

図星?
自覚?

翠さんの言ってることが全然理解できない。
翠さんと麻友さんは話しが通じ合ってるみたいだけど…。

私は黒瀬が何を考えてるのかも、翠さんと麻友さん2人がどうして顔を見合わせて妙な笑みを浮かべているのかもわからない。

「莉子ちゃん、葵を笑顔にさせることなんてそんな難しくないと思うから、頑張って」
翠さんは得意な爽やか笑顔でそう言うと、鍋の肉を取り皿にとって口に頬張った。


そっか。

黒瀬を笑顔にするんだった。


どうして黒瀬があんな風になっちゃったのかも、黒瀬の口からちゃんと聞かなくちゃ。


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