メガネ男子と同居中
「黒瀬ー!お風呂だよ〜」
髪の毛をタオルで乾かしながら、黒瀬の部屋のドアをノックする。
「……」
あれ、返事しない…。
「黒瀬?お風呂〜」
「……」
「入るよー?」
ガチャ
「…黒瀬、お風呂だって…」
!!
ベッドの方を見ると、黒瀬が小さな寝息をたてて眠っていた。
寝てる…。
黒瀬の寝顔…初めて見たな。
学園祭の保健室以来の貴重な黒瀬のメガネをとった姿だったので思わず、しゃがみこんで、黒瀬の顔を覗く。
こうやってみると、中学時代の黒瀬もあんまり変わらないな。
なんだか、学校で見ていた地味で暗い黒瀬じゃない誰かを見てるみたい。
「案外綺麗な顔してんじゃん」
ドキン
って。
なんでキュってしちゃうのよ。
メガネという壁が一枚なくなって、さらに夢の中の黒瀬だからいつもより距離が縮まった感じがする。
「…くーろせくん♪」
小声で思わず名前を呼んでしまう。
『くん』なんかつけちゃって。
全然起きないじゃん。
鈍いっていうか、黒瀬も大したことないな…。
寝てればただの17歳の少年じゃん。
「…くーろせくん♪お風呂でちゅよー」
「…んっ…」
あ、起きたか?
黒瀬が少し体をクネっとさせて、ゆっくり目をあける。
バチッ
しっかりと黒瀬と目が合う。
「お、おはよー」
メガネなし黒瀬と目が合い、少し動揺する。
全然違う人みたい。