メガネ男子と同居中
「どうして、水谷さんはそうやっていつも僕のペースを狂わせるんですか?」
え?
狂わせる?
私が黒瀬のペースを?
「何言ってんの?別に狂わせてなんか…」
「いないとでも言うんですか?」
「それは…」
そりゃ、突然同居してお世話になっちゃったり、テスト対策手伝ってもらったりはしたけど…
「少しは悪いと思ってるよ。家にいきなり住み着いたり、勉強見てもらったり…」
「…そんなこと言ってるわけではありません」
「え?」
じゃあなんなよ…。
「はあ…水谷さんがわからないです。それはわざとですか?それとも無意識ですか?」
「…いや、ちょっと待って、なんのこと?」
なんなのよ…。
「本当に自覚ないんですか?」
黒瀬が呆れたようにそう言う。
「なんのことよ!はっきり言ったらどうなの?」
思わず、体を起き上がらせてお互いの吐息がかかるくらい至近距離でそう言う。
「こ、こういうところですよ…」
黒瀬は顔をそらすと、耳を赤くしてそう言った。
「…え」
「好きな人がいるなら、だれかれかまわず女を見せるのはやめてください。それが天然なら治療しなきゃいけないレベルですっ」
黒瀬は目を合わさずにそう言うと、ささっとメガネを片手に、部屋を後にした。