メガネ男子と同居中

「あ…あの…」

和田くんは近くの公園のベンチ私を座らせる。

「…俺のこと、あいつからなんか聞いたか?」

「なんかって…」

「中学の頃の話とか」

「…あ…いや…まぁ…」

「なら話は早いな」

「へ?」

意外と落ち着いてる和田くんにこっちが戸惑う。

だって、学園祭でのあの暴れ方だと、どう考えても今日だって私は危険だ。

でも、今日はそんな雰囲気一切ない。

逆にその横顔が少し切なそうに見える。


「葵の彼女なら…あいつがすげぇいいやつなことくらいわかるよな」

「え…あ…あの私、黒瀬の彼女ではないので…でも、すごく繊細で優しくで我慢強い人だってことは知ってるよ!」

「…なんだ。一緒に住んでるって聞いたもんだからてっきり彼女かと…それに学園祭の時のあんたが駆けつけたときの葵の顔なんか…」

和田くんの言葉にはてなマークを浮かべる私。


学園祭の時の黒瀬の顔?


「つーか、彼女じゃねーのにベタ惚れなんだな。そんなに葵のこと褒めるなんてさ」


「え…そっちが、黒瀬はいい奴だって…」


なによこれ。
なんで私、好きな人殴った相手と公園のベンチで2人っきりで好きな人の話してるわけ?


「黒瀬は…大切な友達のこと裏切ったりするよな人じゃないよ!」


今、私が彼に言える唯一の言葉。


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