メガネ男子と同居中

「フフッ…知ってるよ…そんなこと」

「へ?」

意外な言葉が返って来てびっくりする。


知ってた?!

じゃあどうして和田くんは、あんな風に黒瀬を殴ったりしたのよ。


「どういうこと?」

「嫉妬だよ。彼女を取られたとかそういうことじゃない。そんなことじゃないんだ」

「…」

「葵は…俺のことも元カノのことも攻めなかった。悪いのは全部自分だって。そんなのおかしいのに。俺が惚れたのがいけないのに。あいつはずっといい子だった」


「それが…嫌だったの?」


「あぁ。ちゃんと俺に怒って欲しかったし、俺に彼女が悪いって、葵の口から言って欲しかった。でもあいつは…」



そうだったんだ。
ずっと、和田くんが怒っているのは、彼女を取られたからとばっかり…。
そうじゃなかったんだ。
和田くんは、正直に面と向かってぶつかって欲しかったんだ。


「信頼されてないみたいで、すげぇ気持ち悪かったんだ。挙げ句の果てに学園祭の時、声をかけたら、俺だとわかった瞬間目をそらして逃げようとした」

「和田くん、だから…」

「…ああ。それで今日は…あの時殴ったこと謝りたくて…来たんだけど…多分、あんたがあのタイミングで来なかったら、俺もビビって帰ってたと思う。だから…協力してほしい」


「へ?!」

「だめか?」

「いや…いいけど…で、できるかな…私に」

意外なお願いにまたびっくりする。

でも…。


「わかった。協力させて!」


黒瀬の笑顔がまた増えるなら。


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