メガネ男子と同居中

ユキたちに囲まれてると、隣にいた黒瀬は持っていたお茶の入ったグラスを置いて部屋から出て行こうとする。

「ちょ、黒瀬どこ行くの?」

「水谷さんに関係ないでしょう」

「ちょ…」

「いいよ、莉子。あんなやつほっときな?」

「あ…」

黒瀬を追いかけようとしたけどユキに止められる。

「ああいう、自分から輪の中に入ろうとしない奴どうでもいいよ」
と優子。


私は「うん」と言いながら黒瀬の背中を見つめた。


黒瀬…。

『前みたいに笑ってほしい』

そういった麻友さんと、笑っていた写真に写る黒瀬を思い出す。


「っていうか、莉子、最近黒瀬と仲良いよね」

!!

ユキに突然そう言われ私は一口飲んだカルピスを吹き出しそうになる。

「ど、どこが!」

「なんか、前はもっと嫌いオーラ出してたじゃん。なのに今は一緒に係なんかやっちゃって」

「一緒に住んでるしねー」
優子もそう言い出す。

なんで…そんな風に言うのよ…。


「なんもないよ!私はマコトくんが好きだし、黒瀬なんて眼中にない!…ただ」

「ただ?」

「みんなが思ってるほど、やな奴じゃないよ、黒瀬は」
少し震えた声で、拳を握りしめてそう訴える。

認めたくないけど、黒瀬は時々いいやつだ。

「莉子変わったね〜〜」

「やっぱり黒瀬も男だし、莉子は可愛いから、莉子には優しくしちゃうんじゃないの?」

「そんなこと…」

「おい、水谷!」

向かいのテーブルでクラスメイトとパスタを頬張っていた川崎に名前を呼ばれる。


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