真夜中のアリス
ぎゅうっと僕を抱き締めるアリスの表情は無邪気そのもの。まだ暗闇を知らない幼子。君の世界は光に満ち溢れていた。
あの頃の僕らはいつかお互いを欠くす日が来るなんて想像すらしていなかったし、予感すらなかった。
けれどそれを崩しアリスの光を奪って暗雲を呼び、鬱蒼とした森のような晴れることのない闇を呼び込んだのは紛れもなく、僕自身だ。
次の瞬間、笑っていた君は声をあげて泣き始めていた。その腕にはもう僕の姿は消え失せていた。
声を上げ、わんわんと泣き続けるアリス。
泣かないで。僕のせいで泣かないで。
胸が苦しくて、悲しくて。けれど願うだけで何も出来なくて、涙を流し続ける幼い君に背を向けて走り去ったあの日。