真夜中のアリス

顔が青ざめていくのがわかる。
まさかまさか、これしか着るものはないというのだろうか。衣服の山から抜け出して、ちょこちょこと駆け出してせめて布きれでも落ちていないものかと探すも、やはり見当たるわけがない。
そんな悪状況にますます顔面蒼白になるのを止められない、が溜め息をついて決断を強いられた。

「…仕方ない、着るしかないか…」

一大決心をしいそいそと、人形から衣服を脱がせ(お借りするともいう)、着なれない洋服に悪戦苦闘を強いられながらもなんとか身に纏う。
鏡なんてものはないから、腰や衣服の装飾であるリボンは歪み放題だろう。髪だってさすがに頭上を彩る為のリボンまでつける度胸がなく服だけ着た、なんとも完成度の低い姿になってしまっていた。
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