真夜中のアリス

そんな中から現れたのは、一人の男。茶色の短めの髪に黒のシルクハットを被り、同色のジャケットに身を包み満面な笑みでこちらにやってきたのだった。

「お久しぶりです。お呼ばれされてないのに来ちゃいました」

負けじとにっこり笑って(目は笑ってないけど!)応対するレジーナ。その後ろからひょこっと顔を覗き出して、様子を伺うあたし。

「いーや。どんな時だって薔薇は誰でも大歓迎さ。勿論、俺もね。
ようこそ、お茶会へ!」

男の満面なる笑顔と甘い香りと薔薇のお紅茶の匂いが鼻孔を刺激する。
よくよく見ると、あの双子が言っていた通りに…たくさんの動物たちが賑やかにお茶を楽しんでいる。
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