真夜中のアリス

「…やっと見つけた!一体どこ寄り道してんですか!?」

それを引き裂くように聞こえてきた、ジャズの音色にも匹敵するような叫び声。
一斉に見合わせて、声がした方向に視線を送れば小さく“あっ”と言う声。

「…スイレンがいる?にしてはなんか重装備ね…」

驚きのあまりに思わず目を見開いて、その人物の姿形を凝視する。森の中であたしの指針を定めるよう的確なアドバイスをくれた双子の男の子、スイレンと瓜二つな立ち振舞いだった。
よくよく見ると、トランプのエースをモチーフにしたような軍服とも見える正装に身を包んでいた。しかしながら、スイレンと同じくなんとも頼りがいがなさそうな瞳と自信がなさげな眉尻の下がり方をした男なのだろうか。
< 295 / 349 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop