真夜中のアリス
嘲笑うかのように跳んでは振り向き、此方の様子を伺いあたしが近付けばまたぴょんと跳ねる黒ウサギ。
「…っ、ほんとにいい加減にし…!?」
追っても追っても近付かない距離。雨は尚も降り続き、視界不良も相まって苛立ちと疲労ばかりが増す一方で、吐く言葉も徐々に少なくなっていく。
「…だ、駄目…。しんどい…」
絶え絶えな呼吸を一度落ち着かせようと一時的に歩行を中断。こんなに走ったのは何時ぶりだろうか、自分の日頃の運動不足を呪うばかりだ。
ふと目線をあげ気付くと、何時の間にか路地に入り込んでいてそこは大きな壁があり行き止まりだった。