真夜中のアリス

「綺麗ですよ。まるで春の訪れを喜ぶ宴のように花が咲き乱れています。そこにウサギさんたちはアリスが門を開くのを待っていますよ。彼らもきっともう、闇を乗り越えた筈ですから」

綺麗な笑顔でそれを告げると、突如眼前に白銀に輝く白く大きな城が出現する。
遠くに見えていたはずなのに、しかしやはりここは夢の世界。思えばどんな事だって可能のようだ。

立派な門構え、ダイヤのような煌めく宝石が埋め込まれ、薔薇と蔦を誂えているそれは豪華絢爛な様が美しく映る。

驚きのあまりに、レジーナたちの方を見ると忽然と姿が消えていた。
そして開かれた門。
淋しいけれど、これも夢の終わりを告げるお別れなのだろう。でももうひとりじゃない。
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