【続】興味があるなら恋をしよう
…挑発にあっさり負けた俺も俺だけど。はぁ。
紬がまさかこんな事してくるなんて…。

唇を食みながら、一気に暴れないように、なんとか冷静になろうとしたが…。
ゆっくり食めば食む程、甘さは増してくるばかりで。
ん゙ん゙。
…冷静沈着になんて、元から無理な話だ。
普段から…行為そのものが冷静でいられるモノではないのだから。…。

俺の身体は高が十日足らずで、枯渇しきっている。
紬…。
潤んだ瞳の紬を、布団ごと抱き上げて運んだ。

「明日は何もしなくていいから、ずっと横になっててくれるか…。
だから、今から…」

「今から?」

…。

「時間をくれ」

「はい、どんな?」

…。

「時間は、い〜っぱい、ありますよ?」

…。

「俺に」

「はい」

「紬と居る時間をくれ」

「はい、居ますよ?」

……。

「頼む…もうそんな意地悪は…」

「意地悪は課長です。
毎日、何もしてくれないなんて…。
理由をちゃんと言ってくれたらいいじゃないですか…。
…疲れる程したって平気です。
それは私にとって、とても幸せな事だと思ってます。
一緒に寝ないのら、最初からソファーに行ってください。
途中でいなくなってるなんて、何だか嫌です。
目が覚めた時に隣に課長が居ないなんて…。
もう、…私は、我が儘だから、駄目なんだと思いました。
…終わりなんだって」


「はぁぁ、紬」

抱きしめるしかない。
ギュッと抱きしめる。

「終わりだなんて言っていない。勝手に思い込まないで欲しい。
“我が儘”は承知の上だ。
駄目ならとうに一緒にいない。
休んで欲しいからしないよって、ちゃんと言えば良かったな。
解ると思ったんだ」

「それにしては…長いです」

「長い?」

「…しない日が長過ぎます。…身体に悪いです」

これでは私が節操が無い話だ。
だって…、ベッドの中で抱きしめられていて、何もなくて、挙げ句いなくなってしまうなんて。

「私の気持ちを…もっと課長で一杯にしようと…企んだのですか?
思いを募らせようと…。
その内、私から堪らず求めて来ると…」

「いや、…企んでなんかいない。
そんな事はしない。
でも…誤算だ。
今のこれは、…嬉しい誤算になったよ」

「え?」

「…紬、なるべく、…極力、優しくするつもりだ。
だけど、ちょっとくらいでは止めないからな。
今からもだけど、毎日、疲れさせてやる。
体力をつけてくれ。それしか解決策は無い」

……。

これは、また…いきなりには無理な話です。
でも、思い切り抱きしめられて、頬をくっつけて話している事が嬉しい。

少し顔がスライドして唇が首筋に触れ始めた。
片手が頭に回され固定された。
耳の下の首筋に、長く唇が触れて食んでいた。

「はぁぁ。…ずるい、です。…課長…こんなの…」
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