【続】興味があるなら恋をしよう
何もかも、全て言葉にしなくても心の動きが解る。
だけど、反対に、話は沢山したくなる。

いつまで話していても、他愛ない話は尽きない。
この感覚、暫く忘れていた。
会社ではそれ程話せないから。


「紬、出たぞ〜」

「はい。…お水、…どうぞ」

頭を拭き拭き出てきた。
?!ん?!ちょっとー!!Tシャツ着てないじゃないですか!

…。

「ん?あ、悪い。ちょっと汗引くまで、このままな」

「…はい」

…相変わらず、俺の裸にも悲鳴はあげないのか。


この人のこんな姿…。裸は別として。
無造作に半乾きでボサボサしたヘアスタイルが…。
笑顔と相まって少年のように爽やかで…。解ってる事だけど。
話が合って、いつも以心伝心みたいな感じで…。
…素敵な人と出会えたな。
中々出会えるものではない。

「ん?」

首を振った。否定ではない。

「尚紀さん、素敵だなと思って」

「紬…何言って…」

「中々出会えないでしょ?偶然だとしても…こんな素敵な人に。
…運命に感謝しなくちゃ…」

だって、…一生関わる、そんな人…。

「紬…」

あぁ。これで俺達にちゃんとしたラインが出来たと思った。
上手く言えないが、いい関係性で居られる。そう思った。
それは紬も同じ感覚を持ったと思う。

「なんだ?素敵な身体に見惚れたか?遠慮するな、もっと見ろ、ほら」

「私もシャワーに行って来ます」

…敢えてスルーか。

「…ああ。俺、ベランダに居るから」

「はい、どうぞ。あ、裸では駄目ですからね」

「フッ、ああ、解ってる〜」

…決めた。


紬がシャワーから出て来た。
…やっぱり。短パンに、ノースリーブか。俺にはある意味、気を遣わない。
それでいいんだ。

「紬、一緒に寝よう」 「尚紀さん、一緒に寝ませんか」

「あ」 「あ」

…。
…。

「少しだけ、涼むか?冷えない程度に」

「…はい」


「落ち着くな」

「はい。…好きです」

…だから、また…、何が好きなんだか。
ま、解るけどな。
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