【続】興味があるなら恋をしよう
☆★、★
ゔ〜ん、…可笑しい。
早速こうして月曜から藍原を待ち伏せしているのに。

見逃したのか…。それは無いと思う。
俺が藍原を見付けられない訳がない。
もうそろそろ行かないとなぁ。
遅刻してしまう。

…課長と一緒に来たのか?
それとも手前の駅で下りて歩いているのか。…そうだよ。
前と同じくらいの距離を歩く為に、手前で下りているのかも知れない。
運動の為とか言って。
んー、あと考えられるのは、この混雑を避ける為に、もっと早い分に乗ったという事くらいか。
早く着いて、どこかでカフェラテでも飲んで、時間を潰していたのかも知れない。
取り敢えず会社に行って、藍原が来てるかどうか、その確認だな。
これは中々、長丁場になる可能性大だな。
とにかく可能性は片っ端から潰していかないとな。


藍原……藍原は、…お、来てるじゃないか。
課長と…車じゃ無いよな。
人の目を気にしてどこかで下りたりしたかも知れないけど。その可能性だって無いとは言えない。
課長と車でなら、もう、一緒の徒歩通勤は望めない…。

「藍原」

あ…坂本さん…。
まずくないですか、声なんか掛けて来ては。

「…おはようございます」

解りやすいなぁ。俺の顔を見て、そんな困った顔をするなんて。

「おはよう。ちょっと、コーヒー付き合わないか?」

「え?」

「俺、朝飯抜き…」

「あ、それは…」

でも…。課長、見てる。

「ま、あ、…いいですよ。あまり時間も無い事ですし、行きましょう」

逃げるように先にフロアを出た。

……おいおい。そんなに慌てなくても。
藍原の心情を察したら、仕方ないか…。


「悪いな、本当はもうどこかで飲んで来たんじゃないのか?」

え?…どこかって、課長の部屋でって意味?
朝食でって事?
そういう意味で聞いてるなら。

「飲んだばっかりですよ?」

どこかでなんて…なんでわざわざそんな聞き方をするんだろう。
…一緒に住み始めた事に、何か…。

「じゃあブラックがいいよな?カフェラテ飲んだんだろ?」

そうですけど…。
今朝は少々の寝坊で、と言うか、自分の部屋に居るつもりで起きようとしていた。
時間があまり無くて…課長が一緒にご飯の支度をしてくれた。

「…あ、はい。ブラックでいいです」

「じゃあ、…はい」

「有難うございます。奢りですか?」

「ああ、俺が付き合わせたから俺の奢りだ」

「では遠慮なく奢られておきます。有難うございます」

…。

あぁ…、俺は…自分のしようとしている事を優先して…。
課長と話をして、開き直ったようなスッキリ感があるけど、藍原は、土曜の夜の…罪悪感をまだ持たせたままなんだよな。

「あの…」
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