【続】興味があるなら恋をしよう
「坂本さん。…土曜の夜の事…課長に…」
課長は多分、絶対解ってるって、伝えたいんだけど。
ことの張本人には言い辛い…。
「その事なら大丈夫なんだ。心配しなくていい。
俺が一方的にした事だから。藍原は心配するな。
それに、既に了承済みだから」
…、え゙っ。了承済って、意味が…。
「い、いつ?…了承済みって、何?いつですか?どういう事ですか?
課長に会ったのですか?」
おー、久し振りに聞く、質問攻めの、何、だな。
課長は俺に会いに来た事も、話した内容も、何も話してないんだ。
藍原には何も知らせず、俺に好きにしろという事か。話す話さないも俺次第…。
「まあ、さ、いつだって、どういう手段だっていいじゃん。大丈夫なものは大丈夫なの。だから、心配しなくていいんだ。
藍原は…自分に正直に行動していいんだよ…」
え?何?後ろの方、よく聞き取れなかった。
…藍原は、何?なんて言ったの?
あれから、まだ二日しか経ってないのに…。
いつ、課長に…。
「坂本さん、課長とメル友ですか?」
「はぁあ?」
…なんで。そうなる。
しないけど、メールをしたとしても、さすがに…友達は無いだろう。
ましてメールで話せる事でもない。
…フ。…ハハ。相変わらずだな藍原は…。自分の中でそうだと思い付いて判断したのか?
なんだぁ?友達って…。
俺と課長は、友達にはなれないよ。
まあ、いいか…。
「ああ。ある意味、友達とも言えるな」
そうなんだ…。
「なあ藍原」
「…はい?」
「遠くなっただろ?電車で通勤してるのか?」
「はい」
よし。そこは予想通り。
「これからずっとなのか?」
「え?あー、…多分。暫くはそうなります」
そうか。電車じゃなくなる日が来るって事、か…。
現状、後は俺の努力次第って事か。
「今までは近かったから、その点は楽だったよなぁ」
「はい。電車、嫌いじゃ無いですけど、物凄いラッシュとか、それが嫌で…」
で?で、今朝はどうしたんだ?
「グッタリ疲れるだろぉ、仕事前に」
うなだれるように頷いている。
「はぁ、…だから今朝は一つ手前で降りたんです。歩いても間に合いそうだったので」
イエス。そうか、今日はそのパターンだったか。
「明日も同じようにするのか?」
「え?」
ヤバッ、聞き過ぎたか?怪しかったか?
「そうですね、歩くと少し運動にもなります。降りて歩いてる内に、気分も良くなりそうですから」
「お、おお。楽、し過ぎると直ぐ太るぞ。歩け歩け」
「もう…酷くないですか?
太ろうが、…そのままだろうが、坂本さんには関係無いですから」
「まあまあ。お、そろそろ始業時間だぞ」
「あ、ご馳走様でした」
「いや、悪かったな。付き合わせて」
「あ、…」
「ん?」
なんでも無いですと、首を横に振った。
なんでも無くはないけど、言ってはいけないと思ったから止めた。
朝ご飯、ちゃんと食べてくださいねって、言いそうになった。
…余計なお世話だ。
…よ〜し。明日は一つ手前の駅で様子を見てみるか。
普通に、どうやって何時に来てる、なんて聞いたら、きっと、何故って、聞き返してくるよな。
あいつ、質問で返してくるの好きだもんな。
…。