【続】興味があるなら恋をしよう

「お〜い、藍原〜」

見付けた。俺は駆け寄った。

「藍原、…おはよう、はぁ」

「おはようございます。…大丈夫ですか?」

どうしたんですか?…。

「ああ、大丈夫だ。…はぁ」

「…フフ。そんなに走らなくても」

「いや、藍原を見付けたら走らずにはいられない。はぁ」

…。

「最近は、朝、よく会いますね」

だろ?

「そうだな」

努力してるからな。

「あの…」

「ん?」

「もしかして…」

待ってるでしょ?どこかで見てるでしょ?
じゃないと、こんなに上手く会わないと思います。

「ん?」

なんだ?

「…あ、日中、暑くなってきたから…毎日ご苦労様です」

変えたな?言葉の繋がりが悪いじゃないか。

「今に始まった事でも無いさ」

「そうでした」

…。

「藍原…」

「はい?」

「デートするのは難しいか?」

「え?デート?!
坂本さん…また…こんな、うちの社員が居そうな通勤途中で、何言ってるんですか?デートって…」

「別に」

あ、何だか…懐かしい。確か転勤して来た早々の時も、別にって言った。

「藍原、デートの意味知ってるか?」

「それは…そんなの知ってます」

好きな人と待ち合わせて、どこかに出掛けたり…。ご飯を食べたり…。

「日時や場所を決めて会う事。異性がね。
だから来週の土日どっちか会おう。
好き合ってる者同士がって、訳でも無いんだよ。言葉の意味としてはね」

無理矢理、気持ちに負担の無いこじつけだ。

「えっ、でも…。ちょっと、そんな事は…」

「無理?無理かどうかは自分の素直な気持ちで決めてくれ」

…。

「そんな…。でも…」

だから、その迷いは課長だろ?

「場所とかはメールするから。
俺に教えてくれたアドレスって、嘘じゃないよな?
変えたりしてないよな?」

違ってたら違ってたで、連絡手段なんて他にいくらでもある。

「それは本当です。変えたりもしてないです、でも」

あの時、真剣に…ちゃんと書きましたから。

「じゃあ、一方的に送る。
来ても来なくても待ってるから、返事はいらない」

何に関しても、今は全部一方的なんだから。
行けません、なんて返事は貰いたくない。
字面を目にするのも嫌だ。

「じゃあ、今日も頑張るか」

「坂本さん、私…」

「あー、今は何も言わないでくれ」

朝から貰った元気を、プラマイゼロにしたくない。
折角の楽しい通勤時間が台なしになってしまう。
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