【続】興味があるなら恋をしよう
伝わるかどうかの微妙なくらいで頷いてみた。

……。

やっぱり、ただ動いたくらいに思われたのね。
それならそれで、別に構わない。くっついて寝られるだけでいい。
そう思ってまたギュッと抱きしめた。
課長の腕もしっかり抱きしめて来た。

…はぁぁ。ずっとこのままこうして居たいと思った。こんなに思ってくれて…私は…。
一瞬、筋肉が動くのが解った。いきなり反転させられた。あっ。

「催促されて、熱い溜め息までされたら、シない訳にはいかないよな」

「…えっ」

上になった課長はもう耳の下辺りに唇を触れさせていた。

「あ…え、…もうシないのかと思ってま…ぁ」

「またギュッて催促しただろ?…じれったくなったんだと、思ったけど?」

悪戯っぽい顔をして私の髪に手を通した。

「…そんなぁ。それはもう…、このまま寝ようかなってつもりで、ギュッと。抱きしめたままが心地良くて」

課長の手を取って胸の上で包んだ。

「…そんな顔をして、こんな事をして。誘ってる?やっぱり本当は、中々シてこないから口では言い辛くて…煽ってるのか?」

誘ってる?こういう感じは誘ってる事と取られるの?
抱きしめただけ。…煽ってなんかいない。これは煽っている事になるの?
首を固く横に振った。
課長も首をゆっくり横に振った。

「はぁ、そんな募るような顔をして…。もう、朝だ。陽も昇ってるはずだ。…それでも平気か?」

遮光カーテンの向こうは明るいはず。いや、だから首を横に振りましたよ?

また首を横にブンブン振った。課長もまた横に振った。

「…駄〜目〜だ。もう、スルって決めた…」

ん゙ー。だったら押し問答のようなやり取りは初めから不毛な事です。
課長の顔に手を伸ばし、引き寄せて口づけた。

「…は、い」

「…紬、…あ」

これは…紬から求めてくれたようで嬉しかった。ジワジワと込み上げて来るモノで、胸が熱くなった。
あー、また、このどうしようもない程の熱も、紬に移してしまうのか。だけど…仕方ないじゃないか。紬のせいだからな。

ゴソゴソと二人で起きたのは昼を回ってからだった。
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