【続】興味があるなら恋をしよう
「匠は見た目あんなでしょ?んー、私が言うのも変か。
とにかく、誤解されそうな顔をしているけど、凄く真面目で堅いのよ。本当よ?
女の子との可愛らしいお付き合いはあったかも知れないけど、大人の女性との付き合いは無いはずだから。今までずっと……勿体ないのよね、実際モテるのに…。
とにかく…仕事人間なの。
私が知りうる限り、女性と酷い事になった事は無いから。
真面目で堅い人間でも、男としては魅力はある方だと思うから、はっきり言っておくけど。
男だからね。
後腐れの無い付き合いはしてたと思う。
だけど、それはそれ、よ。
33の男が、何も無い方が気持ち悪いわ。そう思うでしょ?」

「はあ、はい」

課長とのあの日の会話、どこかで聞いてたのかしら。
こういうところが兄妹でも、双子たる所以だろうか。
同じようにイタミを感じたりするとも言うものね。

「大丈夫そうね。匠はとにかく、紬ちゃんにぞっこんみたいだし。
だから私も紬ちゃん、見た瞬間から好きなのかもね」

「あ、ハハ。それは私も同じです。葵さんに一目惚れしましたから」

「フフフ。双子って気持ち悪いでしょ?こう…理解し難い、神秘的なところがあったりして。
返事し辛いわね、こんな事。
ねぇ〜、匠〜?
今日、家で過ごさな〜い?」

「なに〜?」

「今日、うちで里緒と遊ばない?」

課長が里緒ちゃんを降ろして近付いて来た。


「はあ?葵が息抜きしたかったんじゃないのか?」

「バレてたか…。いいの。
一人の息抜きより、話をしたり出来る方が女はストレス解消になる!
ごめん、もう、何か買い物とか、準備しちゃった?」

「……まだだ。帰りに里緒も一緒にスーパーに寄って帰ろうと思ってた」

「じゃあ、みんなで今から買い物に行こう?
それでうちでご飯食べて、適当に遊んでくれたらいいから」

「…お前なぁ。はぁ。まあ、いい。
どっちでも一緒だ。紬もいいか?」

「はい。私は大丈夫です」

「決まり!里緒〜、パパとママとみんなで買い物に行くよ〜」

「は〜い」


「あいつ、…ストレスなんて無いんじゃないのか?…」

「お腹の中に赤ちゃんがいる時は、神経質にならない方がいいって言いますよね。
少しでも気晴らしになるならいいと思いますよ」

「ん、じゃあ、行くか」

「はい」

「あ、葵、車のキー。お前ん家の車で行くぞ。
その方がチャイルドシート乗せ換えなくて済むだろ?」

「は〜い」

ふと思った。
お腹の中の赤ちゃんは、男の子なんじゃないかって。
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