【続】興味があるなら恋をしよう
「一条さ〜ん。一条さ〜ん」

…。

「一条さ〜ん」

…。あ、私、一条さんだった。いけない、自覚が無かった。

「あ、はい」

「一条紬さん?どうぞ、中へ」

「はい。…すみません」

診察室に呼ばれた。
尿は検査の為、もう出してあった。

「一条さん、今回は妊娠ではありませんでしたね。
生理の遅れは…いつも順調という事ですので、お仕事関係のストレスとか、環境の変化とか、まあ、何かしら影響したのかも知れませんね。体はデリケートですから。
どうですか?
一応、これからの妊娠に供えて、少し検査しておきましょうか?
今後、お子さんをお考えなら、安心ですよ?」

「はい。あの…、検査というのは、どのような事を…」

「簡単に、血液検査と超音波で子宮の状態を診ます。
血液検査は、感染などが無いか、子宮は、状態から、もし筋腫などがあれば発見出来ます。
されておきますか?」

…。

「はい。お願いします」

「はい。では、そこに横になってください。
あ、先に採血からしますからね。
検査に回します」

「…はい」

こうして、今後に供えて予定外の検査をして貰った。

結果は何も心配なかった。

診察室から出て来るのを待っていた課長は、落ち着かない様子で座っていた。
産科に来た経験はあるとは言え、待合室のこの雰囲気の中では、圧倒された事だろう。
ほぼ女性だから。

「課長?お待たせしました」

「あ、紬、…どうだった?」

期待と不安、そんな顔だろうか。

「…違ってました。妊娠はしていませんでした。
ごめんなさい。
落ち着いてよく考えてみたら、妊娠検査、薬局で買える物で先に試してみたら良かったですね」

「あ、ああ、そうだな。…そうだよ。ああ、そうだよな」

紬が倒れた事に驚いて…。
医務室の先生も、ほぼ間違いないみたいな感じで言うし。
もしかして…あれは、新婚だからって、からかい半分に言った事だったのか?
ん…じゃあ、何故倒れたんだ?…やっぱり疲れ、俺か。

「帰りましょ?」

「あ、ああ。…なあ、紬?
…妊娠してなかったっていう事は、つまり、またシても大丈夫って事だよな?」

「か、課長ー?!」

何を神妙な顔をして小声で聞いて来るかと思ったら。…。

「いや…、妊娠したらしたで、それは嬉しい事なんだ。
だけど、まだ、当分は二人で居たいだろ?」

「…はい。それは、はい」

「だろ?…ふぅ。だから、また、紬と思う存分デキル事が凄く嬉しい」

「もー、課長ーっ!」

「声が大きい…」

「だって…、課長が…」

なにもこんなところで言わなくても…。思う存分なんて。

「なあ、紬。帰ろう、早く」

「はい。午後から仕事ですからね」

「うん。だから早く帰ろう」

…?

「早く帰って、シよう」

「は。…課長?!」

「いいから…。あ、会計、読んでるぞ?俺、車で待ってるよ」

「あ…」

もぉ…。何だかはしゃいでる?突然、我慢しないといけないと思っていた事が、…しなくてもよくなったから…。
たがが外れてしまったのね、きっと。もう本当…子供みたいになるんだから。

でも…、妊娠して無くて、ホッとした。………。先生が妊娠ではないと言ってくれるまで。昨日から心配でならなかった。
…ずっと、…心配は心配だったのはあった。…あの日は一応、安全日だったけど。
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