天神学園の問題児再来
教え子の夢を打ち砕き、道を閉ざす、教師としてあるまじき行い。

ヴラドを知らぬ者が見れば、凶悪な吸血鬼にしか映るまい。

しかし花龍は、審判の鬼龍は。

苦笑いすら浮かべて、そのヴラドの『極悪に見える』所業を見守っていた。

無論、止めになど入らない。

その必要はないからだ。

彼女達は、ヴラドを見て思う。

『歴代の丹下に似ている』と。

丹下の血筋の者はそうだった。

対戦相手に迷いがある時、緊張に身を固くしている時、間違った道に進もうとしている時。

とにかく無茶をして叩きのめす。

卑怯とも映るような行いをして、周囲の顰蹙を買う。

かの丹下 龍太郎などは、試合開始前にあの夕城 翡翠を殴るという暴挙に出た事もあった。

それらの真意は全て、『対戦相手に対する発破』。

丹下の血筋は総じて、全力の相手との戦いを好む。

相手が全力を出せない状況…例えば前述の状況のような時、そのまま戦えば有利に運べるものを、敢えて檄を飛ばす。

そうして目覚めた相手と戦い、時には敗北する。

つまり馬鹿なのだ。

戦いのイロハを分かっていない。

だが、それがいい。

そしてヴラドもまた同じ。

彼は不治の病、『丹下病』に冒されているのだ。

< 814 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop