恋する5秒前~無愛想なキミと~
桜井君と他愛のない話をしながら待っていると
「お待たせしました……」
店員さんが私達のテーブルへとやって来て、目の前にお皿を並べてくれた。
彩り鮮やかな野菜を使ったサラダに、体の芯まで暖まりそうなコーンスープ。
そして、真っ赤に茹でられたカニがピラフの上にところ狭しと乗せられていた。
カニの香りがフワッと漂ってきた。
「旨そうだな」
「うん!この香り、久しぶり。さぁ、早く食べよう!」
食欲を刺激する香りに誘われるように私達はスプーンを持つとピラフをひと口頬張った。
「……ん、旨いっ!こんな旨いピラフ食ったの、俺、初めてかも」
普段はご飯を食べてもあまり反応がないのに、今日はすごく感動しているみたい。
茹でたカニの身を専用の道具で掻き出しながらピラフと一緒に食べる。
「でしょ?私も初めて食べたときはちょっと感動したもん」
桜井君、旨いを連発しながら食べている。
迷ったけれど、このお店へ連れてきて良かったなぁ。
味気ない初デートで終わってしまうかなと思っていたから、桜井君が喜んでくれて良かった。
ご飯を食べた後はどうしようか?
桜井君、どこか行きたい所はないのかなぁ?
私はピラフを頬張りながら考えていると……。