世界はまだ君を知らない



そのうちいつしか、男子からは同性のように、女子からは異性のように扱われるようになり、バレンタインデーという日も私にとってはチョコレートを貰う日になった。



『やっぱり付き合うなら自分より小柄な女子がいいよな。千川みたいなのはマジ無理』



そのうち、そう言われることにも慣れて……ううん、慣れたふりをして。

恋人とか恋愛とか、そういったものに興味がないふりをした。



『もうすぐバレンタインだね。千川さんは誰かにあげたりしないの?』

『あはは、私は貰う側だから』

『あー、確かに。千川さんモテそうだもんね』





だって、そうすれば傷つくことはないから。

諦めれば、期待をしなければ、バカにされたり笑われたりしない。

そうすることで自分を守れる。



『……ごめん。やっぱり、無理だ』



それでも求めようとして、また傷つく。そんな自分が嫌になる。






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