きみのためのプレゼント
『最近、ハナに弱音ばかり、言ってる。それでもいつも優しく返してくれるハナ。本当にいつも支えられてるな。恋愛感情かなと思ったこともあったけれど、それよりもどちらかというと本当に支えてもらってる感が強い。ありがたいな』



その文章を読んだ瞬間、ブワッと涙が溢れてきて止まらなくなった。私はそんな風にしていたつもりなんてなかった。


それなのに、私のことをそんな風に思ってくれていたなんて全然知らなかった。溢れてくる涙を拭うこともしないまま、違うページをめくる。


『ああっ、また辛い。でも、ハナからのメールを見ると僕も負けていられないと思う。悩み事はつきないし、落ち込むことも多いけれど、がんばれる。いつか、会えたらいいな。その前に僕が男だって伝えなきゃ』



『友達に好きな人が出来たらしい。すごく嬉しいし、応援したい。ハナに好きな人が出来たら・・・ちょっぴり寂しいけれど、でも、ハナが幸せならいいな。僕は、ハナのことが好きだけど、恋愛感情じゃなくて【親友】のように寄り添える大事な人だと思う』




どの文章も全部が私のことばかりで、私はそれにどうして気付いてあげられなかったんだろう。こんなにもたくさん思いを抱いてくれていたのに。


ブログを読み進めていくと、彼の自殺の原因かと思われるような心の闇が書かれていた。私は彼が苦しんでいたことも、闇に侵されていたことも知らなかった。


それなのに、私のメールを支えにしてくれていたんだ。他愛ない私のメールを。


このブログは光くんからの私への『ラブレター』であり『プレゼント』なのかもしれない。


私が翔平の立場だったら、きっと翔平と同じように【ハナ】を探していた。でも、私は翔平のように優しくないから、すぐに責め立てていたかもしれない。


あなたがメールを送っていれば、彼は死ななかったかもしれないと。



ごめん、【ナナ】。私だけが、あなたを救うことができたのかもしれないのに。助けてあげられなくて、救ってあげられなくて本当にごめんなさい。
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