きみのためのプレゼント
家に帰ってから、ずっと自分の部屋で【ナナ】のことを思い出していた。もし、【ナナ】が光くんだったなら返事をしなかったんじゃなくて、出来なかった。


それなのに、私はあんなひどいメールを送ってしまったのか。今更、自己嫌悪に陥っても仕方がないけれど、私が【ナナ】を大切に思っていたように、【ナナ】も私を大切に思ってくれていたということなのかな。



でも、ナナに聞きたくても、もう何も聞けない。そっか。私も大切な人を知らないうちに亡くしていたんだ。私はそれを知らないまま、【ナナ】を嫌いだと思うようになってしまった。



ふと、頭に過ぎった【ナナ】のブログ。もしかすると、そこに何か書いてないだろうか。一度だけ【ナナ】が教えてくれたブログを書いているって。


でも一度もブログは見ないまま、全てメールは消してしまった。いてもたってもいられなくて、あんな酷いことを言った彼に、初めてメールを送った。


「言い過ぎて、ごめんね」と前置きを書いたけれど、それを削除して一言。



『【ナナ】のブログを教えてください』



翔平はすぐに返事をくれた。「ごめんなさい」と前置きとブログのアドレスを記載して。翔平に返事はしなかった。記載されていたアドレスを押すと現れたブログ。



【LOVE LETTER】のタイトルの下の名前は【ナナ】ではなく、【ひかる】と書かれていた。一番最新の記事は二年前の七月三日。
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