きみのためのプレゼント
本当に、彼女たちはハルのことをあまり大切には思ってなかったのが腹立たしかったけれど、ハルは嬉しそうに


「これからはずっとさあちゃんと一緒だ」


と私を喜ばせるようなことばかり言った。


ハルへのグループ内の子たちからの陰口も、日を追うごとに少なくなっていき、今日は終業式。明日からは夏休みだ。と言っても去年までは部活三昧だった、私。今年の予定は白紙のまま。


「ねぇ、さあちゃんは藤本くんと行くの?花火大会」


先生に私の介助人をしたいから、私の前の席にしてほしいとハルが言ってくれ、先生も快諾。私の前にはハルが座ることになった。

おかげで私の移動は、ハルが車椅子を押してどこにでも連れて行ってくれるので、困らなくなった。


ただ、それは学校内でのことだけで、行き帰りは必ず、藤本くんがやってくれる。だから、度々私はこんな風に、ハルからわけのわからないからかいを受けるのだ。



「なんで?行かないけど。こんなだし、人混み嫌い。それにもし、行くとしても家族で行くよ。なんで、藤本くん?」


「えっ?だって付き合ってるんだよね?」


「付き合ってないって。言ったでしょ?彼は知り合いに私と同じ症状の人がいるから、気にかけてくれているだけだって」


今は先生が通知表を配ってくれていて、比較的教室内はざわざわとしている。それにしても、何度同じことを言わせるんだ、ハルは。


私がそう言って説明しても、私には本当のことを言って欲しいと言われる。本当のことを話しているのに、聞かないのはハルの方なのに。
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