きみのためのプレゼント
あの言葉は、彼が感じたことだったのだ。光くんを救えなかったと後悔の日々の中で、それでも、どんなに頑張っても答えは変わらないという結論に達した。


きっとそれは、彼が誕生日にメールを送ったという事実があるから。



「もし、俺があいつを止めることができたのなら誕生日メールを思い出して、自殺なんてしなかったはず。そう考えるようになったら、次は出来もしない願いを心に抱くようになった。『あの日、俺が光と入れ替わっていたら光が死ぬことなんてなかったのに』ってね」



でもそんなことは出来ない。だけど自分のやり場のない思いをどうすることも、できなかった。そう言った途端、彼は一度口を噤んだ。


『入れ替わり』もしかしたら彼は、ずっとその気持ちを抱き続けていたのかもしれない。だからこそ、あのときすぐに口に出来た。


でも、私はその『入れ替わり』で彼に救われた。藤本くんが言い出してくれたから、私はあの日、衝動的行動に出なくて済んだんだ。



「人間ってさ、忘れるようにできてるんだよ。あんなに好きだったやつなのに、大事な友達だったのに、次の日、その次の日、一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月が過ぎたらもうほとんど思い出になってしまった」


今にも泣き出しそうな、苦しそうな彼の声。それでも、辛い話を一生懸命、話そうとしてくれている。ここで彼を止めるほうがいいのは分かってる。


もうこれ以上、話さなくてもいいよと言ってあげると、彼も楽になるかもしれない。だけど、それじゃダメだ。


苦しくても辛くても、話そうとしてくれている藤本くんの気持ちに応えたい。そして、私も彼の辛さを共有したい。


これからも彼の近くにいたい。
そして、彼の一番になりたいから。
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