腹黒エリートが甘くてズルいんです
「いや、あの……」


そこから、頼んだ生中が届いてもう一度乾杯をしたり、先輩がお勧めだからとにかく食えと勧めてくる豚の角煮やら、由依が食べたがるフルーツトマトの何ちゃらだのを注文したり、を、挟みつつ何とか説明を終えた。


「つーまーり、」

先輩がもごもごと口の中で何かを選別しながら喋り出す。


「……はい」


ぷっと梅干しの種をお皿に出してから、あたしを見据えて言う。
いや、種を出してから話始めて下さいよ。


「あれか。俺達を見捨てるんだな?」


えええええ、なんでそうなるの?!


慌てるあたしをよそに、『なー』と由依に相槌を求める先輩。
そして、由依も同じ方向に首を曲げて『ねー』とか言っているし。


「いや、全然、そういうんじゃ……」


「あーよかった、先輩が代弁してくれて。本当だよ、あたし、泣くのこらえてたんだからね!」


へ?
意外な由依の言葉に、思わず反応する。
なんで?
さっきは、環境を変えようとする勇気を誉めてくれてなかった?
< 113 / 227 >

この作品をシェア

pagetop