腹黒エリートが甘くてズルいんです



自分で宣言した通り、本当に外に出てみることにする。


「……はぁあ」


確かに由依が『すぐ冬になっちゃう』と言っていたのが分かる気もする。


もうすぐ10月、という夜の風は夏のそれとは明らかに違う。
下手したら、今しがた出したため息が白く曇ってもおかしくないような。


お店の内装からは分からなかったけど、随分と古いな、と今出てきた雑居ビルを見上げる。


疑心暗鬼、なのかな。

どうせまた全て仕組まれた事なんでしょ? と思ってしまう。
何回もどっきりに引っ掛かる芸人さんなんかを、テレビで見ては笑っていたけれど。
どうしてまた同じようなシチュエーションで気が付かないんだろう、なんて思っていたけれど。

きっと同じだ。
でも、あたしは気づく。芸人さんと違って、騙されて笑われても『オイシイ』なんて思うわけない。

酒井くんに会えて嬉しかったのに。純粋にやっぱり嬉しいと思う自分がいたのに。

菅生さんの発言に、疑わざるを得ない。
< 172 / 227 >

この作品をシェア

pagetop