腹黒エリートが甘くてズルいんです
「……な、に?」


観念して振り返る。そこには、さっきまで目も合わせてくれなかった酒井くんが当然のように立っていた。


「……なんでも、ないけど」


バカか。お前はバカなのか本当に。なんでも無いなら呼ぶな、バカ。


そんなこと、勿論言い返せっこないから、ただ向き合い黙りこむあたし達。


肌寒さを覚えるくらいの9月の終わりの空気が、頬に心地いい。

そして、妙に澄んで静かだからなのか、酒井くんがすぅっと息を吸うのが聞こえた気がした。


「お前さ、あれなの? 菅生と、付き合うとか、そういう感じ?」


何この人。もうやだ。なんなの?


ふつふつと怒りが沸いてくる。

追いかけてきてくれた? と思ってちょっぴりときめき、なんかもしかしてこれまでの全部ひっくるめて壮大などっきりだよエヘヘ的な告白でもするの? と期待し……ということを、0コンマ何秒、みたいな早さで脳内でやってのけた自分にも腹が立つけど、この期に及んでしょーもない事を言い出す酒井くんにもむかつく。
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