腹黒エリートが甘くてズルいんです
もしかして、めちゃくちゃ怒っているとか?
確かに、そう言われてみれば、あのラインの言葉だけじゃ足りないかもしれないけど……あたしとしては、惑わせるつもりも、勿論、騙すつもりも無くて。

どうしよう。


「……じゃあ、仲田は、4月になっても誰とも結婚しないんだ?」


さっきの姿勢のまま、酒井くんが言う。


「うん、しないよ」


「好きな人は?」


「……いる」


もうここで嘘をつく必要もないし、多分ばれてるし。


ガバ、と酒井くんが身体を起こす。


「菅生は、やめとけ! 確かに、イケメンだけど、あれは、風味だ、風味。イケメン風味。あいつは確かに、いいやつだけど女癖に関してはもう、引く。完全に引く。やめとけ! あーこれは、僻みとかじゃなくて、あ、それもあるかもだけど、でもさ」


「……ふ」


我慢しきれず、笑ってしまい、思わず手元にあったシーツを引き寄せ、顔を埋める。

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