腹黒エリートが甘くてズルいんです
はーーーーあ、と酒井君がやけに大きなため息をつく。

「それってさー、結局遠回しに『仲田先輩は、だから一人でも生きていけるんですねー、アタシにはそんな力の入った人生、無理だなぁ、きゃぴ』みたいなこと言われてるぜ?」


ええええなにその穿った見方。
でも、わからなくもない。


そういう子達は大抵すぐにデキ婚とかして会社を辞めていく。


「……鋭いね、酒井君」


「伊達に飲み会重ねてねーから」


奧さんとはまさか、合コンで出会ったの? と聞こうとして、口をつぐむ。
余計な詮索はしない約束だった。


でも、こうして二人でいると奥さんの存在をうっかり忘れてしまいそうになる。
言い訳するわけじゃないし、勿論不倫願望なんて微塵もないけれど、元々が中学の頃しか知らないし、奥さんといるところを見たわけでもないし、実感が沸かないと言うかなんと言うか……。

変なの。


「さーて次は何頼むかなー、お前、戦力になるから助かるわー」


「戦力?」

思わず枝豆を剥く手を止めて聞き返す。
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