感染学校~死のウイルス~
「最低……」


誰かがそう呟いた。


あたしも同じ気持ちだった。


最低だ。


こんな時だからこそ協力しているアラタ先輩と祐矢先輩とは大違いだ。


あの2人は自分が生き延びる方法しか考えていない。


みんなの食料を勝手に盗んでいくなんて、最低以外のなにものでもない。


気が付けばあたしは拳を握りしめていた。


面識の薄い2人へ向けて怒りがわいてくるのを感じる。


「みんな、落ち着いて!」


そう言ったのは田井先生だった。


「確かに彼らは悪い事をしてしまったけれど、それを責めるのはよくないわよ」


田井先生の落ち着いた声が体育館内に響く。


「誰でも失敗や過ちはあります。ここで疑心暗鬼になれば、校内から脱出することもできなくなるかも

しれない。もっと最悪な場合、早い段階で食料が尽きてみんな死んでしまうかもしれない」


田井先生の言葉に体育館の中は静まり返った。


人を疑い、反発することは死を早める。


先生はそう言っているのだ。


あたしは拳を開き、自分の怒りを鎮めるために深呼吸をした。


「ここに残っているみんなは絶対に裏切らない。だから安心して協力しあいましょう」


田井先生の言葉に生徒たちは自然と「はい」と、返事をしていたのだった。
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