感染学校~死のウイルス~
「なにか気が付いたことでもあるなら、なんでも言ってほしい」


そう言ったのは祐矢先輩だった。


その口調はどこか義務的で、あたしを心配しているのとは少し違うと感じた。


「こいつは校内で起こった事を全部書き記してんだよ」


アラタ先輩が振り向いてそう言った。


「書き記す?」


あたしは首をかしげてそう聞いた。


「あぁ。日記みたいなものだな。ここから外へ出られたときに、中で何が起こっていたのかを説明しようと思ってね」


「すごいですね」


校内で起こった事をちゃんと外に知らせるなんて、考えたこともなかった。


とにかく1日を生きて過ごす事。


それだけで精いっぱいだった。


「こいつは昔からがり勉だからな。こんなことになってもその後の事を考えて生きてんだよ」


アラタ先輩がそう言った。


嫌味を含めているような言葉だったけれど、祐矢先輩は軽く笑っただけだった。


「……実は、少し気になっていることがあるんです」


渡り廊下を渡り終えて、本館へと差し掛かっていた。


周囲に人の気配は感じられない。
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