派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~
 




「強引な奴だし、訳わかんないこと言い出したりもするけど。
 温かい目で見守って、やさしくしてやってね」

 そう蓮に言いながら、脇田は、よし、ちゃんと言えたぞ。
 秋津さんのために、と思っていた。

 渚の友人として、取るべき行動は一応、わかっていた。

 頭の半分では、なにいい格好してんだ、とおのれを罵る声が聞こえていたが。

「はい。
 ああでも、私も初デートなので。

 見守るもなにも、デートってよくわかんないんですけど」
と蓮に言われ、ええっ? と思う。

「秋津さん、今まで誰ともデートしたことないの?」

 蓮は、あー、と渋い顔をし、
「まあ……私はデートだと思って出かけたことはありません」
と言った。

 ……なんだそりゃ。
 自分はデートだと思ってないデートはあるってことか。

 まあ、そりゃそうか、と蓮をちらと見て思う。

 今まで男が放っておいたはずないもんな。
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