派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
「そこを開けたら、自決しますっ」
背中ですりガラスのドアを押さえて、蓮が言う。
莫迦か。
そんなに引っ付いてたら、逆に丸見えだ、と渚は笑う。
元より、本気で開けるつもりはなかったのだが、案の定、蓮の反応は面白い。
自決と来たか。
「江戸時代か。
……どうせ、いつかは見るのにな」
と言ってやる。
そこだけは冗談ではない。
本気だった。
見せませんよっ、とわめく姿も今は可愛らしい。
そんなことを考えていると、チャイムが鳴った。
こんな時間に? と時計を見る。
蓮はシャワーの音で聞こえていないようだった。